こんな校了の場面があるんだな……

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「校了」というのは、

ようするに印刷物の編集作業、

あるいは校正作業をすべて終了し、

いよいよ印刷、製本といった段階に移行すること。

 

これで原稿が編集者の手を離れ、

本や雑誌、新聞に仕上がっていくわけです。

 

編集者時代、私も担当として

何度も経験したこと……ですが、

ニュースで見て「こんな校了もあるんだな」と

感動したのが、

香港の「リンゴ日報」ですね。

知っての通り、言論の自由をうったえ

中国政府を批判し続け、

とうとう強制的に廃刊に追いやられた新聞ですが、

その最後の誌面の校了の場面です。

 

社員だけでなく、

読者である市民も新聞社内に集まり、

校了の瞬間に皆で大喝采!

新聞ですからすぐに印刷され、

皆がそれを手にとって喜ぶ瞬間が報道されていました。

 

さすがに、そんな校了は、

体験したことがないぞ……。

 

もちろん、新聞と書籍の違いはあります。

 

でも、私が体験してきた校了というのは、

たいてい夜中の編集室に一人きり。

待たしていた印刷屋さんに

「終わりました」と、ゲラを渡し、

どうやら最終の電車には間に合うな……なんて。

 

そういえば「あとで飲みに行きましょう」なんて、

待たしていた同僚たちに

拍手されたこともあったかもしれない(苦笑)

 

いずれにしろ、作り手も読み手も、

皆がその瞬間を祝福する校了の場面。

なかなかないシチュエーションですが、

携わっている方々は、

やはりそれだけ素晴らしい仕事をされてきたんだな

……とあらためて思います。

人生において、そういう仕事をすることが

できたらいいですよね。

 

出版業界の末席にいる人間としては、

本当に「ご苦労様」と言いたい。

 

まあ、政治的なことについては、

世界が協力して、どこかで再発行する機会を

本当は作れればいいのでしょう。

政治体制には様々な考え方があれど、

反対意見が抹殺されるのはよろしくありません。

 

でも、そのこと以上に、

「出版って素晴らしいんだ」と

再確認できたのは感謝したく思います。

 

[効率無視の仕事術]

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