佐渡金山の歴史的価値

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韓国の大統領が変わることで、
こちらの議論も活発化するのだろうか?

佐渡金山の「世界遺産登録」が
実現するかどうかですね。

朝鮮半島から強制的に労働者が連れてこられた、
そのことと「歴史的価値」は関係ありません。

んなことを言ったら、
ピラミッドだって、始皇帝陵だって、
労働力には戦争捕虜や奴隷身分の人を
強制労働で使っているだろうということ。
負の部分までを含めて、
後世に起こったことを伝えるのが
「歴史的価値」であるわけです。

ただ、日本人も誤解しているのですが、
佐渡金山の価値には、
この「労働実態」が大きく関わっていることです。

佐渡金山って、ものすごく
古くから掘られていたように思っていました。
確かに平安時代から掘られていた鉱山もあるのですが
本格的に開発がなされたのは、江戸時代以降のこと。

だから世阿弥さんが島流しになったときも、
鉱山掘りはさせられていないし、
かつて「黄金の島」ジパングと言われた日本と
佐渡金山には直接な関係もないわけです。
そっちは平泉など、東北で取れた金が、
大きな評判になったようですね。

この点、たとえば島根県の
「石見銀山」は世界遺産になっています。

この銀山は鎖国下の日本にあったにもかかわらず、
世界の銀相場を左右するくらいの、
膨大な産出量を誇っていました。
どちらかというと日本は、
「白銀の島」ジパングだったのですが、
だからこその世界遺産認定なんですね。

一方で佐渡金山には、そこまでの世界的影響力はない。

そこで「近現代の技術を後代に残す資産」
という歴史的価値によってアピールすることになったのですが、
そうすると江戸時代、明治時代、戦前、戦後と、
朝鮮半島の人に限りませんが、
犯罪者であったり、浮浪者であったり、差別対象者だった人々が、
非人道的な扱いで働かされた事実には
どうしても触れずにはいられないわけです。

実際、佐渡にも私は行ったことがありますが、
ちゃんとこうした歴史的背景を伝えるから、
ものすごく「くらい場所」という印象を持ちました。

本当は日本も、
そういう負の側面まで伝える語り部的な
アピールをしなければならないわけですね。

「世界遺産」というと聞こえはいいのですが、
登録されたあとで、なおざりにされてしまっているような遺産は
日本にいくらでもあります。

登録を目指すならそうならないように、
伝えるべき目的を明確にして
世界にアピールすべきなのでしょうね。

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