夏川現代語訳02 茶の本

●茶の本

著者 岡倉天心
版元 致知出版社
ページ数 176
価格 本体1540円
リンク https://www.amazon.co.jp/dp/4800910374/

■著者紹介 岡倉天心(1862‐1913)
明治時代、美術思想家として日本の美術作品や、その考え方を世界に紹介。現代まで続く日本美術の基礎を作り上げた。
福井藩士として生まれるが、維新後はアメリカの美術史家、アーネスト・フェノロサに師事し、ボストン美術館の東洋部長も務める。東京芸大の前身である東京美術大学を創設、横山大観、下村観山など、多くの芸術家が彼の影響を受けている。

■本の概要 『茶の本』
原題「The Book Of Tea」は、東洋の美術評論家として一定の評価を得た著者が、日本の美意識を紹介するために、1906年にニューヨークの出版社から英語で出した本。
千利休が確立した「茶の湯」の思想を軸に、禅の考え方を取り入れた日本美術の精神を欧米諸国に紹介したもの。
とくに6年前に発表された『武士道』とともに、当時は日清・日露戦争の勝利で世界を震撼させた日本人の強さに注目が集まっていた時期。
しかし武士的な精神と真逆にあった「和」を目指す精神に岡倉天心はスポットを当て、世界の知識人から絶賛された。

■目次
第1章 茶碗に込めた人間力
第2章 茶の流派
第3章 道教と禅
第4章 茶室
第5章 芸術の鑑賞
第6章 花
第7章 茶人たち

■本の読みどころ
明治維新以後、日本人は西洋人に肩を並べ、先進国とされていた彼らに認められようと奮闘してきました。武士の論理を西洋人に解き明かした『武士道』も、究極的にはそのための書であったわけです。
ところが岡倉天心は、戦争に明け暮れてきた西洋文明を批判し、あなたたちこそ「日本文化に学ぶべきだ」と主張します。
「もし文明国と呼ばれるための条件が、身の毛もよだつ戦争による勝利によって与えられるものであるなら、私たちは喜んで『野蛮な国』のままでいましょう。私たちの国の芸術や理想に敬意が払われる日まで、日本人は喜んで待つつもりです」
今も多くの日本人が気づいていない、私たちの伝統の中にある究極的な平和思想。
それが「お茶を飲む」という、誰しもが毎日、当たり前に行なっていることに秘められている。
おりしも世界の至るところで分断や対立が起き、混迷を極めている現代において、私たちは自らの長所である「和の精神」を取り戻すためにも、この名著に立ち戻るべきではないでしょうか。

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