
「自分たちの言葉を持つことは、
自分たちの国を持つことと同じくらい
意義のあることです」
私にとっても仕事の生命線である
「言葉」の重要性を説く、こちらの言葉。
アメリカにおける辞書の編纂で有名な、
ノア・ウェブスターさんの言葉ですね。
彼の名がついた英語辞書を使用している方は、
とても多いでしょう。
10月16日はウェブスターさんの誕生日で、
「辞書の日」とされているそうです。
今から267年前。1758年のことですね。
「ウェブスター辞典」と言われる
有名な『アメリカ英語辞典』を
生涯にわたって編纂し続けたウェブスターさん。
今では誰もがその名を知る人物ですが、
じつは相当の苦労人だったようです。
実際、辞書が世の中に普及し出したのも、
彼が1840年代に亡くなってからのこと。
一応は教科書の執筆者として
成功していたのですが、
教育事業にかなり投資もしていたので、
家計は火の車だったようですね。
そもそもイエール大を出た彼は、
将来の目標もはっきりせず、
厳しかった父親に勘当されてしまいます。
その後、先生になって挫折し、
法律家になって挫折し、
政治家になろうとして挫折し……と、
さんざんな人生を送っていきます。
挫折のたびに、うつ状態になっていたようですね。
なんで自分はダメなんだろう……と
自問自答した結果、
やはり勉強の仕方が悪いのではないかと、
思い直す。
それで根本的な「言葉」から、
正しく学んでいくことの重要性に
たどりついたようです。
『英語文法の原理』という教科書を編纂し、
アメリカという移民たちの集まる
多言語国家にあって、
「ちゃんとした国語=英語をつくりあげていこう」と。
これが彼のライフワークとなり、
辞書の編纂や学校の創設にかかわっていくんですね。
正しく言葉を学べば、人は大きく飛躍できる
……という立場ですから、
当時アメリカでは当たり前だった
黒人奴隷の差別にも大反対します。
また、「なんでこんなに本が売れても
儲からないんだ」という憤慨があったのでしょうか。
著作権の確立に向けても、
大きな功績を残しています。ありがたいですね。
言語文化を、あるいは出版を変えた
大きな功績者として、
ぜひ記憶しておきたい人物です!
画像は彼の生家、
コネチカット州の「ウェブスターハウス」。
アメリカの国定歴史建造物になっているそうです。