『風姿花伝』が6刷になっていました

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すでに重版が決まった……という話は
したと思いますが、
夏川賀央の『風姿花伝』が
6刷になっていました。

発行は2014年ですから、
10年以上もまだまだ売れ続けている本。

まあ、そんなことを言ったら、
世阿弥さんが本書を世に出したのは
1400年という昔のこと。

625年間も読まれている本、
ですから、そのパワーはすごいものです。
出版不況の日本ですが、
そういう貴重な文化資産をもっていることは、
私たち、本当に理解しないといけないですね。

古いだけでなく、
「能」という、多くの人間にとって
あまり関わりのない古典芸能について
理論体系をまとめた本書。

それでも現代まで多くの読者に愛されるのは、
ニッチな世界ばかりでなく、
現代人の仕事にも役立つ面を
非常に持っているからでもあります。

たとえば、どうすれば
「今回の舞台がうまくいくか」を
前もって予測できますか?
……という、世阿弥さんがQ&Aで
答えている部分があります。

その答えは、まず
「始まる前の会場をよく見なさい」
というものです。

会場がざわついていないか?
たとえば皆が、おしゃべりをしたりして、
準備ができていないのでは、
いきなり演目を始めても、
はじめは聞いてもらえないかもしれない。

ちょっと皆がひと段落して
「そろそろ始まらなかなぁ……」なんて
意識が舞台に向いた頃に始めれば、
最初から大喝采で迎えられることができるわけです。

ところが、そんなタイミングを無視して、
VIPが来場したからということで、
強引にも舞台を開始しなければならないことが
出てきます。

その際は普段より声を大きくして、
オーバーな感じで、ざわつく観客を
自分に集中させてしまう。

最悪でも聞いてない人は無視し、
やってきたVIPの方のためだけに演じる覚悟で、
演目を演じなさい……と、
世阿弥さんは言っています。

そのほか夜には、ふだんよりも明るく、
軽快に演じるようにしなさい……と。
疲れている観客さんを、
眠くさせないためですね。

じつはこれらはすべて、
講演やスピーチをする場合や、
あるいはプレゼンなどでもそのまま
使えるハウツーでもあります。

私は『風姿花伝』を
「日本最初のビジネス書」だと言っていますが、
625年の間、
「この理論は役に立つ」と、
お墨付きで読まれている本であるわけです。

目の前にそんなノウハウがあるのに、
人前に立つ仕事をする方が、
スルーするということほうが不思議ですよね。

しっかり私たちは、
自国の賢者が残してくれた知識を
活用すべきでしょう。

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