本を愛する者に悪い奴はいない……私も「べらぼう」を目指そう!

毎週配信メルマガ「賢者の会」通信はこちら

本日はNHK大河ドラマ
『べらぼう』の最終回でした。

47歳にして「脚気」で亡くなっている蔦重さん。
ちょっと横浜流星さんの体型は、
あまりに贅沢病からは遠い気はしますが、
それでも最後まで素晴らしかったですよね。

江戸の出版プロデューサーとして
日本の版元文化を牽引した蔦屋重三郎。

現在の出版業界で仕事をする私も
大敬愛する先人ですが、
後半、仕事であまり観ることができませんでした。
いずれまとめて視聴したいです。

ただ、把握している限り、
史実をかなり逸脱して、ご都合展開になった
蔦重周辺の物語です。

それぞれの目指すところを目指し、
袂を分けていったとされる喜多川歌麿は、
最後まで蔦重のそばにいて
「写楽プロジェクト」の核となる。

「寛政の改革」で敵対し、
蔦重たち江戸の出版人を筆禍で
追い込んだ松平定信は、
最後は彼らのよき理解者となる。

諸悪の根源だった一橋公については、
その身代わりの影武者だった役者が、
定説で「写楽」とされる
斎藤十郎兵衛になった……という、
結局、「皆が本を通してつながっていく」という
出版業界が目指すところを
差し示すような結末になりました。
……まあ、それでいいのだろう。

実際、江戸の黄表紙を規制した松平定信は、
隠居後、江戸で暮らす人々の職業を紹介する
『近世職人尽絵詞』という書物をプロデュースし、
これに山東京伝や大田南畝、
朋誠堂喜三二に北尾政美(鍬形蕙斎)など
蔦重生前の仲間たちが参加しています。

方向性は違っても、
多くの読者を喜ばすことで
「世の中を耕していこう」という思いがあれば、
出版の世界はつながっていく……ということ。

それが今の出版不況の、
打開策にもなっていけばいいですね。

最後に蔦重が、奥さんから言われていたこと。

私たちが出した本を、
どこかの都市や田舎町で、
顔も知らない読者が読み、
感動したり、その生き方を変えたりしている。

実際、私も本を書く仕事をしていて、
行ったこともない街に住み、
まったく自分が知らなかった仕事をしている
別世界の人のような方から
「本を読みました」と連絡をいただき、
つながることが人生で何度もありました。

そんな「奇跡」が起こせることを、
私たちは絶対に忘れてはいけない……!

あらためて「べらぼう」を目指していこうと、
私も決心した次第です。

本当に素晴らしい作品を、
1年間ありがとうございました。

関連記事

ページ上部へ戻る