夏川の現代語訳・橋本左内の『啓発録』です

「志を立てた人間は、
江戸へ旅立とうと決心した人間に似ている」
「今日、あなたが聖賢豪傑になるぞと、
志を持ったとしよう。
どんなに才能がなく、学識のない者であっても、
明日、明後日と日が経つにつれて、
だんだんと
『聖賢豪傑に似合わない要素』を取り去っていけば、
ついには目標に達してしまうのが道理である」
「これはどんなに足腰の弱い者であっても、
一度『江戸に行こう』と決めて計画を立てれば、
最終的にはゆっくりでも
ゴールにたどりつくのと同じことなのだ」

こちら私が現代語訳した
橋本左内の『啓発録』より。
いよいよ本日より本体1400円で、
致知出版社さんから発売になりました!

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本書のオビには、
「21分で読めます」……とあります。

そう『啓発録』はわずか44ページ。
非常に簡単かつ、シンプルな内容なんです。
その構成は、単純に言えば次のようなもの。

1 子どものような心を捨てる
2 気を奮え立たせる
3 志しを持つ
4 勉強をする
5 いい友だちをつくる

なんせこれを書いた当時の左内は、15歳。
勉強家ではあったものの、
その思いは一点の曇りもないほど、純粋でした。

いまや太平の世が続き、人々は安穏として、
自分がやるべきことを見失っている……。
しかし自分は武士として生まれたのだ、
世の中をよりよくするために
何かを成し遂げなければならない……。
そうだ、夢を持とう!
ここで思いきった決意をして、
自分が果たすべき使命を見つけていこう!

そんな青臭いほど純粋な、
未来の自分に託した思い。
誰しもが心の奥底で思っていたこと。
左内はその気持ちを、全国の武士たちに
ストレートに呼びかけたんですね。

本書が出てから、
やがてペリーの黒船が来航し、
平和な江戸時代は、
急速に混乱期を迎えていきます。
そんな中で左内の言葉を聞き、
「大志を掲げてきた人間」が、
やがて世を変えていくことになるわけです。

この『啓発録』に加え、
本書には左内の人間論がよくわかる
『学制に関する意見文書』と、
未完に終わった
『為政大要』を掲載しています。

「どうして真の勇気が、人々に育たないのか?
それは人の上に立つ人間が、
真に身をもって国を守ろうとする精神を
持っていないからです」(為政大要)

こうした言葉は、
現代にも通ずるリーダー論でしょう。

左内の文章に加え、
最後には左内の上司だった福井藩主、
松平春獄による
『橋本左内小伝』も掲載しています。
藩主自らが告白する
25歳という若さで散った左内の最後は、
本当に胸を打つものがありますね。

そんな構成で出版された『啓発録』。
ぜひぜひ皆さんに手にとっていただき、
これからの人生に大いに役立てていただきたいです!

写真は左内が「安政の大獄」で処刑された小伝場町牢獄の跡。

いまは「時の鐘」が立っています。

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