夏川現代語訳04 努力論

●努力論

著者 幸田露伴
版元 致知出版社
ページ数 420
価格 本体2200円
リンク https://www.amazon.co.jp/dp/4800911095/

■著者紹介 幸田露伴(1867‐1947)
明治日本を代表する小説家、随筆家の1人。
『露団々』『風流仏』で名声を確立し、『五重塔』『運命』などの名作を残した。
古典文学や様々な宗教、あるいは今で言うスピリチュアルな世界にも精通し、『努力論』はその集大成とも言えるもの。
第一回文化勲章受章を受賞。娘の幸田文も著名な作家となっている。

■本の概要 『努力論』
大文豪、幸田露伴が、自身の「幸福になるための考え方」をまとめ、生き方指南の書としてまとめあげた大著。昭和になってから自己啓発書の作家としても一世を風靡した渡部昇一氏が本書を紹介している。
その内容は単に努力の必要性を説くばかりでなく、四季の変化、自然の流れと自身の体内にある「氣」を一致させるもので、「努力は苦しんでやるものでない」とする“ゆるさ”をもった著書である。

■目次
1章 運命と人力と……運を引き寄せる最も確実な方法
2章 着手の処……これを聞かなければ「学び」は始まらない
3章 自己の革新……あなたが望む「新しい自分」のつくり方
4章 惜福の説……幸せになりたいなら「福を惜しむ」ことだ!
5章 分福の説……大きな成功をつかむために絶対に必要なこと
6章 植福の説……世の中のために、あなたは何ができる?
7章 努力の堆積……努力しないと「好きなこと」は実現しない
8章 修学の四標的……「正しく」「大きく」「精密に」「深く」学べ
9章 凡庸の資質と卓絶せる事功……「自分にとっての最高最善」を目指せ
10章 接物宜従厚……実践すべき「助長」と、戒めるべき「剋殺」
11章 四季と一身と……「季節の力」を利用して効率よく成長する
12章 疾病の説……健康を望む私たちが学ばねばならないこと
13章 静光動光……人生の最後まで成長を続けさせる「気の力」
14章 進潮退潮……最高最善の結果を生む「張る気」の力
15章 説気・山下語……万物の「気」を意識し、正しい人生をゆく

■本の読みどころ
デール・カーネギーの『道を開く』や、スティーブン・コビーの『7つの習慣』など、世界には「自己啓発書の古典」として長く読まれている名著がいくつかあります。
しかし、日本の明治時代にも、そんなよりよく生きるための名著を、日本を代表する文人が書いていたことを知っていたでしょうか?
本書、『努力論』は、そんな本。「努力の必要性を説く本」といえば、非常にストイックな内容を想像するかもしれません。
確かに本書には「どのように自己研鑽をするか」「どのように目標設定していくか」「どんなふうに目の前に仕事に集中していくか」といった、そのまま現代にも通用するハウツーを満載しています。
しかし一方で幸田露伴さんは、「努力というのは、『努力している』という意識をもたず、楽しんでいつのまにかそれをやっている」という状態にならなければいけない、ということも説いているわけです。
ですから本書には「運を味方につける方法」であったり、「自然の力に身を任せる方法」など、スピリチュアルな要素もふんだんに含まれています。
今の成功哲学の集大成が、すでに明治期の日本に完成されていたことは驚くべきことでしょう。
難解で読みくにくくもあった本書ですが、現代語で平易にすることで、グッと現代的な本になっています。ぜひ気楽な気持ちで、手にとってほしいと思っています。

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