夏川現代語訳06 スマイルズの「自助論」

●スマイルズの「自助論」

著者 サミュエル・スマイルズ
版元 ウェッジ
ページ数 324
価格 本体1540円
リンク https://www.amazon.co.jp/dp/4863101708

■著者紹介 サミュエル・スマイルズ(1812‐1904)
イギリスのスコットランド、ハディントン生まれの医師であり、作家。歴史的な偉人の努力の軌跡についての膨大な著書、『セルフ・ヘルプ=自助論』が世界的なベストセラーになったことで名声を手に入れる。
『向上心』『『人格論』など、自己啓発の分野に著書を残す。

■本の概要 『自助論』
原題『Self Help』は、ニュートン、シェイクスピア、ミケランジェロ、ナポレオン、ガリレオ、ワット、ザビエルなどなど、さまざまな分野で活躍した人々の伝記や言葉を引用しながら、生き方の根本を鋭く説いた世界的名著。
日本では1870年に教育学者の中村正直が、『西国立志編』という名で本書の訳書を出版。福澤諭吉の『学問のすすめ』とともに、明治維新後の文明開花を後押しするミリオンセラーとなった。
本書の「天は自ら助くる者を助く」という言葉は有名になり、特に英国の産業革命を促した起業家たちのマインドを紹介した部分は、日本人におけるベンチャー起業家の誕生を促すことになる。
紡績機の開発で事業を成功させ、現在のトヨタにつながる企業を作り上げた豊田佐吉は、その代表である。

■目次
第1章 「自助」とは何か?
第2章 産業界のリーダーたちの栄光
第3章 「最高の陶器」に生涯をかけた人たち
第4章 努力と忍耐によって偉業を成し遂げた人たち
第5章 真実を見抜いてチャンスをつかんだ人たち
第6章 才能を努力によって磨く芸術家たち
第7章 彼らはいかにして、その地位を手に入れたのか?
第8章 「やる気」と「勇気」を奮い立たせる法
第9章 仕事を成功に導くためにやるべきこと
第10章 金に振り回されるな、金を支配せよ
第11章 自分を鍛え続ける人たち
第12章 最高の「模範」を見つけるには
第13章 品格ある人間になるために私たちがやるべきこと

■本の読みどころ

「Self Help=自助」とは、つまり「自分の力でもって、自分の運命を切り開く」ということ。
当たり前のように思える言葉ですが、生まれてきた階層や家に縛られていた江戸以前、日本人とって「自分の人生を自分の力で切り開こうとする」のは、決して当然のことではなかったのです。

それは同じく身分制が定着していたイギリスも同様でしたが、産業革命によって生まれた発明家や起業家は、生まれたときのハンディキャップも、自己の努力で乗り越えられることが可能なことを証明しました。そしてスマイルズは、同じような例を政治家、軍人、芸術家、作家、思想家、宗教家などから多く見出し、あらためて世に努力の意義を問うたのです。
本書はまさに、世界の常識を変えた名著となりました。

さらに本書は世界中の「夢を持った人々」に、努力によって夢が現実化することを確信させ、成功へ向けて邁進する行動を促します。
本書を座右の書として、何度も読み返しながら新しい紡績機を発明し、トヨタの基盤を築いた豊田佐吉はその代表ですが、日本人が世界に追いついた背景には本書の影響も大きくあったのです。

あまりも膨大な例、膨大な分量のため、『自助論』の全文を紹介されることは少なく、多くは要約版のようになっています。
ですから多くの成功者に影響を与えた、前の時代の先駆者たちの努力の例も通常はあまり読めないのですが、本書はできるだけ原著の構成を変えず、スマイルズが力を入れている実例が十分に読めるよう編集しています。
努力の必要性が軽んじられている現在、改めて自分がやるべきことを見出すためにも、本書の一読はお薦めします。

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