「愛したもの」を書き続ける
- 2025/6/27
- 賢者の言葉

「日本の人々ほど、
楽しく生きる秘訣を心得ている人々を、
私はほかに見たことがない」
幸福度の低い現在の日本を見れば、
まさかそんなことはあるまい……と
思ってしまうのですが、
かつては本当にそうだったのかもしれない。
こちらは1890年に40歳のときに来日して、
14年の間、作家活動をし、
我が国で亡くなった作家、
ラフカディオ・ハーンこと、
小泉八雲さんの言葉。
6月27日は、彼の誕生日だとのこと。
今年で生誕175年になります。
いま、私たちは「賢者の会」をやっていますが、
それは「偏愛」ということで
「自分の好きなこと」を文章にしていこうという
試みです。
実は八雲さんほど、
「好きなことを書く」という活動に
徹した人はいないかもしれない。
彼は貧しいギリシャの島で生まれ、
養子に出されたうえ、
16歳で片目の視力を失なうという
厳しい人生を余儀なくされた境遇。
それでも神話や民俗学の世界に憧れ、
印刷工として働きながら、
作家として一生懸命に文章を書いていました。
そして日本の『古事記』などの古典を読み、
強い憧れを持ちます。
どうしても日本に行きたかった彼は、
せっかくつかんだ新聞社での仕事を断念し、
日本の田舎で英語教師になることを
決意したわけです。
その先、日本の民話を集め、
「小泉八雲」として「耳なし芳一」などの怪談を
世界に紹介していったのはご存知の通り。
その活躍が認められ、
日本では東大や早稲田大学で
講師として働く仕事も手に入れています。
ちなみに奥さんの小泉セツさんは、
2度目の奥さん。
最初の奥さんはアメリカにいた時代で、
黒人の方と。
たった3年の間みたいだったようですね。
短い人生ながら、30冊の著作を残した八雲さん。
好きなことを書き続けた人生には、
非常に満足しているのではないでしょうか。