花の色は?……小町さんの心残り

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3月18日というのは、
「精霊の日」として知られているそうです。
なんとスピリチュアルな。
天使やら妖精やらに会えるのか?

そうではありません。
柿本人麻呂に、小野小町に、和泉式部にと、
3人の「歌聖」とされる歌人が亡くなった命日と
されるそうです。
それで美しい魂に思いを馳せる日として
「精霊の日」と言われているんだそうですね。

「精霊=しょうれい」で死者の魂、
3人の詩人の魂は、
とりわけ「美しいもの」とされているのでしょう。

ただ実は3人とも、奈良時代や平安時代の1歌人。
半ば伝説めいた存在で、
その実在についてはほとんどわかっていません。
だから命日かどうかも怪しいのですが、
その人生はドラマっぽく描かれています。

そのうち、絶世の美人として知られた小野小町さん。
「世界3大美人」にしているのは、
日本だけ……と思いますが、
(クレオパトラ、楊貴妃に続き、
欧米ではたいてい小町さんの代わりにギリシャ神話のヘラ)
どんな人生を過ごしたのかご存じでしょうか?

ときは9世紀、
彼女は学者だった小野篁の孫か娘とされますが、
13歳で天才歌人と脚光を浴び
宮中のアイドル的存在になります。

でも36歳のときに疲れてしまい。
故郷の秋田に戻ることにします。
しかしそれを追いかけ、
深草少将という人物が彼女に求婚をするんですね。

彼女は彼を体よくあしらおうと、
「そうね、100回くらいプロポーズしたら
考えましょうか?」
なんて、無茶振りをします。
でも、秋田までやってきた少将さん、
簡単には諦めません。

シャクヤクの花を植え、毎日その花をもって
小町さんに「お願いします!」と
本当にプロポーズを続けます。

流石に彼女も驚き、だんだんと心を動かされてくる。
「この人、本当にやるのかしら……」
ドキドキ……なんて。

ところが99回まで頑張った当日、
大雪の日の事故に遭遇し、
少将さんは命を落としてしまったんですね。

100回目のプロポーズを待っていただろう小町さん。
その死を本当に悲しみ、99の歌を作って
彼に捧げたと言います。
生涯独身で、最後は60代にして
京都のお寺で死を迎えます。

老いた自分を歌った歌が、
「花の色は移りにけりないたづらに
我が身世にふるながめせし間に」
という百人一首の歌、
人生に残した「悔い」を歌った歌とされます。

人の思いは、大切にしないとですね。

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