ピラミッドのある国は、やっぱり安定してほしい……

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スーダンでの内戦が激化しているそうです。

日本人も60人くらいが滞在しているそうですが、
自衛隊機を派遣するという話。安全を願いますね。

スーダンといえばアフリカの国ですが、
その北側にはエジプトがあります。

エジプトといえば、
ピラミッドなどの古代遺跡がある国ですが、
じつはスーダンにもピラミッドがあるのを
ご存じでしょうか?

画像がそれで、
「メロエ」という街にあるピラミッド。
エジプトより規模は小さいのですが、
その代わり「エジプトの2倍」と言われるほど
たくさんあるのが特徴ですね。

このピラミッド、北にある古代エジプトの
ファラオが造ったものかといえば、
そうではありません。

エジプトとスーダンの国境近くには
「アスワン」という都市があり、
巨大なダムとアブ・シンベル大神殿があることで
知られています。

じつは「古代エジプト王朝」の範囲はこの辺までで、
それより南のスーダンの地まで、
エジプトは支配領域を広げていませんでした。

ならばこの南の地域に誰がいたかといえば、
「ヌビア人」と呼ばれる人々で、
ちょうど日本におけるアイヌ人のような感じで
エジプトと交易をしたり、
あるいは「名をあげよう」とエジプトの都市へ上京し、
兵に入って活躍する人などもいたんですね。

ところが紀元前8世紀のころ、
この立場が逆転したことがあります。
それが「クシュ」という王国で、
エジプトが政治不安で弱体化したときヌビア人を統一して、
北のエジプトを従属させてしまったのです。

これが「ヌビア王朝」と呼ばれる時代ですが、
そのころを中心した遺跡が
スーダンにはちゃんと残っているんですね。
エジプトを模倣した
独自スタイルの文明だったわけです。

私は学生時代、専攻だったので、
何度かエジプトへは行きました。
そのころに、このスーダンのピラミッドも
「見たいなぁ」と、ずっと思っていました。

ところが行けません。
そのころから内戦は始まっていて、
軍事政権ができ、さらに革命が起き、
再び内戦が起き、南スーダンが独立し、
さらに内戦が起き……と、
ここでは政治不安が繰り返されています。

確か合間を見て、
観光ができる時期もあったと思うのですが、
中東のいくつかの遺跡と同じく、
ここもずいぶん長く
「行きたくても行けない古代遺跡」に
なってしまっているわけです。

やはり考古学を学んでいた人間には、
こういうのは非常に残念に思いますよね。
過去の偉大な文明を見直し、
早く近々の矮小な対立を解決してもらいたいと
つくづく思います。

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