賢者の言葉15 なぜリーダーは「ズル」をしてしまうのか?

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「皇帝が天命を受けるのは、苦しむ民を救って、
世を平和にするためである。
そのために罪は1人で背負い、
恩恵は民に与えて地上を照らし、
天下を公平に扱わねばならない」

『超約版・貞観政要』
の言葉を紹介しましたが、
中国王朝時代で「最も優れた皇帝」とされる
太宗と部下たちのやりとりを
中心にまとめられた古典。

日本でも執権・北条家や徳川将軍家が、
トップの心得とした重要な書です。

まあ、そこには
「リーダーは部下の罪を1人で背負うものだ」
とある。
あえて紹介したわけですが、
本書を少しでも「参考にしてほしかったな」という
リーダーが出てきてしまいましたよね。

社長職は退任するようですが、
それで済むのだろうか……。
問題はまだまだ続きそうな気もします。

お金が入るなら、
どんな汚い手だっていいじゃないか。
逆らう部下はやめさせればいいじゃないか。
売上を持ってくる奴が最も大事!
正論なんて聞きたくもない……。

まあ、ビックモーターに限りません。
私もかつては、そんな会社に勤めたことはある。
このネットを通じて誰もが告発する時代に
逆光はしていますが、
かつてはそんなふうにして利益を出していた会社が
世にはもっとたくさんありました。

そういう「ズル」や「不正不義」を
徹底的に戒めようとしたのが、
実のところ『貞観政要』の本質です。

考えてみてください。
強力な軍の力を持って他国を滅ぼし、
国を制した王国です。

その力をもって民衆を脅したほうが、
反乱分子を抑えられるし。
大きな権力を持って部下たちを屈服させたほうが、
組織はまとめやすいし、
強力な力で民衆から富を奪いとったほうが、
国庫も豊かになるでしょう。

手っ取り早く、権力基盤を安定させ、
身の安全を図るには、
そんな「不正不義」を実行するほうが
簡単だったわけです。
だから大勢の皇帝が、実際にそれをやった。

その結果、すべての国が、
だいたい短命で終わったんですね。

だからリーダーは、
面倒でも「正論」で組織をまとめなければいけない。
儲からなくても、
公平な手段でお金を調達しなくてはいけない。
聞きたくないことを言ってくる部下の声を、
嫌でも聞かなくてはいけない。

最後は、ビックモーターでも軽んじたことですが、
7世紀の中国皇帝は、
最も自分のマネジメントで重視したことだったわけです。
そのために敵側の宰相
側近に採用することまでしました。

世の中がブレてきそうな今、
しっかり世の経営者には、
本書を読んでいただきたいですね。
私の訳書でなくても構わないので。

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