賢者の言葉28 戦乱の時代の兎さん

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本日、NHK大河ドラマの
『どうする家康』が最終回を迎えました。
もう、そんな時期なんだ……と、
年末を深く感じてしまいます。

それはとにかく、ジャニーズの問題もあったからか、
残念ながら歴代でワースト2位になってしまった
大河ドラマです。
確かにいろいろ不可解な脚色はありましたが、
私はそれなりに楽しんでいたのではないか。

最終回、のちに3代将軍になる、幼少期の家光が、
「おじじさんの絵を描いた」といって
持ってきたのがウサギの絵でした。

ここで繋げるのか……と思ったのが、
この家光将軍というのは、
かなり心を病んだヘタウマ画家としても知られていて
変なウサギの絵を残しているんですね。

それが画像ですが、
家康を描いたのではないと思いますが、
何だか可愛いんだか、ダークなんだかわからない。
将軍の絵にしては不可思議な作品です。

いずれにしろ、今回の家康像、
最初から「ウサギ感」は非常に強かったですよね。

最初の奥さんの瀬名さんとも、
「戦国の兎になろう」と結婚し、
ずっと彼女はウサギの彫り物を手元に置いていました。

信長も家康を「ウサギ」と呼んでいて、
「そんなウサギが本当は一番強いんだ」
ということを強調していた。

そう考えると、松本潤さんの人選も、
この「ウサギさん」にピッタリすることが
理由にあったのかもしれない。
初期の頃は、そんなイメージをよく出していましたね。

天下統一を目指した際に、
そんなウサギ感を捨てますが、
最後には徳川時代を作り上げ、
孫たちに「ウサギの時代」を残すことに満足し、
世を去るわけです。

まあ、家光はそんなウサギの時代の将軍になったことに、
不満だったかもしれませんが……。

ともあれ、歴史的に家康は、
そういう役目だったのでしょうね。

この人を評価しない人は案外と多い。
実際、戦は弱かったし、臆病だったし、
心配性で慎重だった。
それが結果的に、最後まで生き残る理由になります。

時代はむしろ、そういう人を
「成功者」として要望したわけですね。

じつは家康には2つの辞世の句があって、
そのうちの1つ。
「嬉やと 再び醒めて 一眠り 浮世の夢は 暁の空」は、
ドラマの最後に紹介されていました。

「天下を統一したぞ」と喜んだら、
夢だった。
いや、そうでなく、
起きたらちゃんと、天下は統一されているじゃない。
嬉しいよね……と。

そんなユーモアを残して去ろうとした1方で、
こんな句もじつは残しています。

「先に行く あとに残るも 同じこと
連れてゆけぬを わかれぞと思う」

いい加減、一緒に死地に行こうとか、
死ぬまでついていこうとか
……そういうのやめようよ。
どうせ皆、死ぬんだし、と。

それを聞くと、本当にこの人、
戦国の世を終わらせたかったんだなと、
感じますね。

でも、ウサギの年は今年で同じ。
来年はドラゴンの年になります。
いつまでもウサギさんではいられない、
精神的な強さが求められる時代になるのかもですね。

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