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失われた「愛の国」
- 2025/5/8
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そこに行けば、どんな夢も叶うという……。
私の世代の方であれば、必ず口ずさんだ歌。
ゴダイゴの『ガンダーラ』ですね。
もともとテレビドラマ『西遊記』の
エンディングで使用された曲ですが、
画像はその中の映像。
史実でも三蔵法師こと、
玄奘が唐の時代に目指したのが
仏教の聖都だった天竺ことガンダーラ。
そして西にガンダーラ、東にチベットを置き、
彼らのみならず大勢の僧侶や商人が
行き来した山岳と砂漠からなる地域こそ
「カシミール」なんですね。
そう現在、インドとパキスタンが、
攻撃をしあっている場所。
争いは60年代から続いていますが、
あの「愛の国」への道すがらが、
長い間とんでもないことになっていたわけです。
まあ、「西遊記」が放送され、
レッド・ツェッペリンが
『カシミール』を歌ったころから
戦争は続いていたのですが……。
そもそもこの地域が仏教の聖地だったのは、
6世から7世紀までの古い時代。
イスラム教がこの地を支配した11世紀には、
もう仏教の勢いはなくなっています。
しかしこの地域でイスラム教勢力に対抗したのは、
仏教ではなく、インド土着のヒンズー教の人々。
彼らはイスラム教の教義を取り入れ、
「シーク教」という独自の宗教を立ち上げます。
そうしてカシミールは、
イスラム教勢力とヒンズー教(シーク教)勢力が
混在する地域となったのですが、
インドは近代になり大英帝国から独立。
ガンジーさんの時代を過ぎると、
まさにイスラム教とヒンズー教の争いが
起こったわけです。
やがてイスラム勢力の中心は、
西のパキスタンと東のバングラデシュに
分裂することになりました。
で、問題はこの両者が混在したカシミールは、
インドなのか、パキスタンなのかで、
対立が起こったわけです。
1960年代から、両者がこの地域を取り合い、
60年以上経った現在まで続いています。
ずっと平和な
「愛の国」であったらよかったのにねぇ……。
じつは私たちにとっても無縁でない、
有名な歌にされた地域。
無関心にならず、その行方は見守っていきましょう。