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火山噴火が閉じ込めた「永遠」
- 2025/8/28
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少し前の話になりますが、8月25日は
「ボンペイ最後の日」と呼ばれる日でした。
世界遺産になっている、
イタリアの古代都市ポンペイ。
聞いたことがある人は多いでしょうし、
行ったことのある方もいるかもしれません。
今から1946年前の紀元79年、
イタリア南部のヴェスヴィオ火山が噴火します。
この噴火はあまりにも凄まじく、
時速100キロの火砕流が、
近くのポンペイとヘルクラネイムの町に
押し寄せます。
そして一瞬にして二つの町は、
何百万トンもの火山灰に
埋もれてしまって消失したわけです。
1748年、探検隊が町の痕跡を発見し、
宝物を求めた発掘を開始します。
すると驚いたことに、火山灰の下で建物はそのまま。
その瞬間まで住民たちが食べていた食事も含め、
町はほとんど完璧な状態で、
灰の下に保存されていました。
住民たちはもちろん、
火砕流の高熱で一瞬にして溶けてしまったのですが、
固まった火山灰は「型」のようになり、
石膏を流すと、亡くなったときの状況で、
人々の姿もよみがえってきます。
一瞬で消失した町は、
結果的にはそのままの姿で、
ほとんど永久的に保存されることに
なってしまったわけです。
むろん、最近は「風化」が心配されており、
科学的な技術で保存の努力が続いているようですね。
火山国といえば、
もちろん日本だって他人事ではありません。
果たして噴火によって、
ポンペイと同じようなことは
起こり得ないのだろうか?
じつは「日本のポンペイ」と呼ばれる場所が、
実際に存在しているんですね。
群馬県嬬恋村の「蒲原地区」になりますが、
浅間山の噴火により、
一瞬にして集落が火山流に埋もれた災害が、
古墳時代と江戸時代に起こっています。
じつはそのうちの1つ、
黒井峯遺跡の発掘調査に、私は若い頃、
参加したことがあります。
かつて考古学を学んでいたことはお話ししました。
ポンペイほどの規模はないものの、
床面からそのままの状態で
土器や獣の油が発見されたり、
竪穴住居の藁葺き屋根が出てきたり……という
驚くような保存状態だったことを
今でも記憶しています。
住民にとっては悲劇ですが、
自然のイタズラで、その瞬間がはるか未来まで
切り取られて保存されることになるわけです。
現在の私たちができることは、
しっかり過去から学び、
未来に備えることなのでしょう。