パンダはどうして去っていくのか?

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日本から、この動物が
どうもいなくなってしまうらしい……。

まあ、「寂しい」という人もいれば、
「あの国の動物なんていらないよ」と
否定論に走る方もいる。

まあ、いろんな考え方はあるでしょうが、
昭和の頃から上野のパンダを見てきた
人間からすれば、
この愛らしい動物がいなくなってしまうのは、
とても残念ですよね。

そもそも、この「ジャイアントパンダ」って、
どんな動物なのだろう?

「中国がチベットから盗んだ」と
言う方もいますが、
それは日本がアイヌから
鶴やらヒグマやらマリモやらを盗んだ
……と言うのと同じで、
歴史的に見れば、あまり意味がありません。

パンダはその昔、モンゴル族や
「吐藩」と呼ばれたチベット族の国が
勃興した地域を中心に、
今の中国の四川省など、
かなり広範囲に生息していたようですが、
どの国家でも存在は知られ、
文献や絵画などは残っていたのですが、
詳しい生態はわかっていなかった模様。

それがよく知られるようになったのは19世紀、
「清」の王朝がこの辺りまで、
国家を広げてから。

といって中国人でなく、乱獲を始めたのは
ヨーロッパ人です。
これ以後ずっとパンダは、
毛皮目当てに捕獲されるようになったそうです。

さすが狩猟民族のえげつなさですが、
そこはやはり西洋文明、
「可愛い」と知れれば、
「なんとしても守ってあげて」という
運動も起こってきます。

そんな乱獲と密猟の駆け引きは、
1970年代から80年代まで
ずっと続いていたようです。
おかげでパンダは世界3大珍獣の1つ
……とされるまで、個体数は少なくなり、
絶滅寸前にまで追い込まれます。

その間、中国はといえば
帝国主義の犠牲となり、
さらに日本を巻き込んだ戦争となり、
そして共産党の革命から
現在の政府のゴタゴタした時代へと、
混乱の時代を繰り返してきました。

この物騒な時代にあって、
戦後、国際連合の中で生まれた
WWF(世界自然保護基金)は、
このパンダが人間の争いの犠牲にならないよう、
懸命な保護をうったえてきたわけです。

当然、その昔の中国は、
「んな動物の保護なんて、やってる場合じゃねえよ」と
聞く耳持たずだったでしょうが、
だんだんと「儲かる」ことがわかり、
保護に協力するようになった。

背に腹は変えられぬ……ということで、
WWFは、基本、すべてのパンダを
中国所有にすることを認め、
レンタルはしながらも
最終的には保護区に戻ってくる保護体制を
共同で作り上げました。

だからまあ、世界中がパンダを見学できるし、
理解し、可愛がることができる。
何よりパンダは、
「考え方の異なる文化間の人間でも、
1つの動物を絶滅から守るという理念では一致できる」
ということを示す象徴になったわけです。
だからWWFも、パンダを組織の
シンボルマークにまでしたわけですね。

ということならば、
政治的対立がどれほど深くなっても、
意地で「パンダは世界中で保護する」という
姿勢を維持するべきでは。

多くの日本人は中国と戦争したいなどとは
思っていないと私は考えるし、
ビジネスだってより継続するべきと思います。

だからパンダも、
日本からなくすべきではないように
なんとか交渉を続け、
来日できる努力すべきなのではないかと、
私自身は考えています。

そのほうが、やっぱ嬉しいよなぁ……。

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