
こちら「古典」の紹介ですが、
杉田玄白さんの
『蘭学事始』ですね。
幕末の頃、酒井藩のお抱え医師だった
玄白のもとに、
同じ医師の中川淳庵が
オランダの『ターヘル・アナトミア』という
医学書を持ってきます。
さらに友人の医者、前野良沢を巻き込み、
オランダ語で書かれた本書は
まったく読めないのですが、
人間の体の中を詳細に描いた
図版の豊富さに驚いてします。
そして図版が正確なのかどうか。
彼らは小塚原の刑場で、
死者の解剖に立ち会い、その正確さに感銘。
この本を世に知らしめようと、
3人での翻訳を決意したわけです。
それが『解体新書』ですね
3年ほどの作業期間を経て、
1774年にこの本は刊行されました。
そのおよそ40年後、
83歳になっていた玄白は、
西洋諸国との関わりが問題化してきた
日本の様子を見ながら、
自分たちが大著を訳した経緯を
書き残そうと決意しました。
そして書き上がったのが
『蘭学事始』という本。
1815年に本は完成し、その2年後に
玄白さんは亡くなりました。
「最近、世間では蘭学ということが、
専門的に行われるようになり、
志をもった人は熱心に学び、
無知識な人は、やたらその進歩性を
誇張しているようなことはある」
「その昔、私たちが2、3人で
この学問を学び、志を興してから
50年近くになる。
いまごろ書くことになるとは思いもしなかったが、
それだけ世では西洋研究が盛んになった」
そんな始まりですが、
このマニアックな記録を書き上げたとて、
一体誰が読むと思ったのだろう……?
おそらく玄白さんは、
そんなことなど意識していないですよね。
どうしても自分が死ぬ前に、
どれだけ海外の最先端科学を伝えることが
難しい事業で、かつ
自分たちが使命感に燃えていたかを
皆に知ってもらいたかった。
後の日本にとって、そんな精神が重要になることを
予期していたのでしょう。
本書はやがて福沢諭吉の目に留まり、
明治になってから書物として発刊。
現在も多くの科学を志す人間に
勇気を与える本になっています。
古典といっても簡単に読める本なので、
手に取ってみるのはいいかもしれませんね。




