【本の紹介】物語 ウクライナの歴史

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夏川が読んだ本の紹介ですが、こちら。

中公新書の
『物語 ウクライナの歴史』(黒川祐次著)
という本です。

ロシアの侵攻が始まってからずっと、
悲惨な状況下におかれながら、
この国の人々の勇気には本当に感服する……というのは、
私だけではないでしょう。

そんなに「国」とか「誇り」のために
人は命をかけられるのか、と。

一方でネット上ではさまざまな陰謀論も飛び交っています。
そういうデマが横行するのも、
この国のことがほとんど日本で学ぶ世界史には登場しない、
非常に遠い国であることが影響しているんでしょう。

そこで改めて、一体どんな国なのか、
背景をちょっと知りたくなった。
なるほどウクライナというのは、
非常に複雑な歴史をもった国なんですね。

そもそもこの地は非常に豊かな場所なんです。
紀元前には「スキタイ」と呼ばれる、
半遊牧、半農業で繁栄した民族が住んでいました。

周りにはゲルマンにヴァイキングに
アジアからやってくる騎馬民族に……と
力でねじ伏せてくる敵国ばかり、
そんな中で彼らは女性までが戦士となり、
仲間たちを守るために戦う文化をつくり上げた。

だから「アマゾネス」という女性戦士たちの伝説は、
ウクライナがモデルだったのではという話もあります。

中世にウクライナにはキエフ公国という
この地で最も古い国が誕生します。

しかしモンゴル帝国に、ロシア公国、
ポーランド、オーストリア帝国、
それにナチスドイツに、ソ連……と、
大国の周辺諸国がこの地を占領し、
豊かな穀倉地帯と勇気ある戦士たちの部族を
国の支配下に置こうとしてきました。

そんな中でウクライナの民は、
農民であり戦士でもある「コサック」という集団になり、
国を持たずにして独自文化を守り続ける。
その延長に「ウクライナ」という国は、存在しているんですね。
大国に負けない理由もよくわかります。

とくにロシアとの確執は
ソ連が誕生したころから始まっていました。

工業化や入植、あるいは強制移住でウクライナ色を
なくそうとするソ連に対し、
民衆レベルでの抵抗を続けるコサックの末裔たち。

しかしスターリン時代には徹底的な粛清も行なわれ、
強制的な食糧調達の結果起こった大飢饉で、
元からのウクライナ人は1/3くらい失われたとも言われます。

そんな確執もあり、やがてソ連が解体すると、
ウクライナは西側諸国に接近することになった。
その結果、今回の軍事侵攻が起こっているわけです。

そんな歴史的な経緯を見れば、
必死になって国を守ろうとするのも当然なのかもしれません。

結果的にではありますが、歴史上最も長い王朝を
幸運にも維持できている日本に対し、
必死になって民族のアイデンティティを守り続けた結果、
やっと他国の支配を解き、独自の国を手に入れたウクライナ。

その違いから学ぶべきことは、多くありそうですね。

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