【歴史入門】アジサイの国の私たち

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5月ももうすぐ終わりになり、
今日は記録的な猛暑だったとのこと。
梅雨を前にして、
夏の兆しももう見えてきましたね。

画像は東京の明治通り、
古川沿いになりますが、
アジサイがようやく咲き始めました。

「墨田の花火」として知られる
ガクアジサイですが、
普段はお世辞にもキレイと言えない川辺を
この時期だけは彩ってくれます。

じつは世界中のアジサイは、
日本のこの「ガクアジサイ」が広まったもの。
桜と並んで、日本を象徴する花です。

これは前にブログでも紹介しました。
幕末の日本に「オランダ人」と称して
日本に潜り込んだドイツ人医師にして博物学者、
フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトさんが
世界に紹介したものなんですね。

シーボルトさんが長崎に来たのは、
まだ27歳のときでした。

医者として仕事をするとともに
「鳴滝塾」という蘭学の教室も開き、
高野長英など、幕末の蘭学者を指導します。

その間、日本の自然を研究するとともに、
日本女性の楠本滝さんと出会い、同棲。
一女をもうけて、幸せに暮らしていたんですね。

ところが数年して、
日本の調査を一生懸命にしていたのが
幕府に警戒されてしまうわけです。
特に幕府が禁じていた地図を
シーボルトが持っていたこともあり、
スパイ容疑をかけられて
強制帰国になってしまいました。

何よりシーボルトさんが悲しかったのが、
最愛の家族を日本に置いていくしかなかったこと。

そんな彼がたくらんだのは、
アジサイに「オタキサン」という学名をつけて
欧州に広げて行こうという、
ささやかな反抗です。

まあ、これは残念ながら実らなかったのですが、
アジサイ自体は日本を象徴する園芸植物として
世界に広がっていくことになりました。

父の願望は叶わなかったのですが、
日本では残してきた娘がしっかり後を継ぎ、
楠本イネさん、という、
日本初の女医さんになっているんですね。

そんな日本を象徴する花、
6月を前にしてこの日本が今、
「世界で一番行きたい国」になっていることとも
関連はしているのでしょう。

もうまもなく、日本への旅行も解禁になるそうですが、
ようやく引きこもった状態のコロナ時代も
終わりになろうとしています。

そりゃあ、このまま開国しないままでは、
しぼんでいくだけですものね。
乗り越えるべき課題はあるのでしょうが、
新しいステージに私たちも飛躍していきましょう。

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