パリピ孔明〜「古典の教え」の正しい生かし方

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今日は古典の話をしたいのですが、
紹介したいのは現代世界を描いた最新の「漫画」です。

講談社の『ヤングマガジン』で連載され、
アニメも放映中の作品。

四葉夕卜さん原作
小川亮さん作画の
『パリピ孔明』という物語です。

「パリピ」というのは、
イベントに集まる人ですよね。

三国志の時代からタイムスリップしてきた
諸葛孔明が、たまたま聴いた
駆け出し女性ミュージシャンの歌声に感動し、
彼女の「軍師」となって
その成功に尽力していく話です。

こんなふうに昔の偉人が
現代によみがえる……という話はよくありますよね。
信長だったり、宮本武蔵だったり、坂本龍馬だったり。

ただ、諸葛孔明というのは、
数々の兵法を用い、戦略面で大きく活躍した人。
ビジネス面から、それを学ぼうという本も
数々出ていますよね。

この漫画、面白いのは、
そうした数々の兵法が、
「女性歌手をプロモーションする」という
ビジネステーマに、
しっかりと生かされていることだと思います。

たとえば呉の追撃を
道に迷わせることで食い止めたとされる
「石兵八陣」という
孔明の策略があります。

同じような石の像を巧妙に配置することで、
敵に錯覚を起こさせる
一種の心理戦術だったとされますが、
現代世界にきた諸葛孔明は
これを大勢の出演者がステージで歌う
ライブイベントに適用します。

お客さんは移動しようとしても
なぜか主人公のステージの周りをウロウロしてしまう。
そのうち耳を澄ますと
「あれっ? この子、歌、うまいな?」と思って、
ここで聴いていこうかと立ち止まって集まります。

結果、どのアーティストよりも
彼女は集客に成功してしまうわけです。

こんなふうに現代のシチュエーションの中で、
古典からの知識の生かし方がわかるのはいいですよね。
「原典をちゃんと読んでみよう」という
読書欲も刺激できるかもしれない。

そう考えると、私がずっと現代語訳してきた
新渡戸稲造さんだったり、世阿弥さんだったり、
マキャベリさんだったり、太宗さんも、
現代にうまく蘇らせられないだろうか?

たとえばいじめられっ子にマキャベリが力を貸すとか、
モテない子に世阿弥がアドバイスするとか。
なんか考えてみたいなぁ……。

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