眠っていた「図書館の思い出」がよみがえる本

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今日は夏川が読んだ本の紹介ですが、
本好きな人、あるいは図書館好きな人であれば、
非常にあたたかい気持ちになれる本だと思います。

中島京子さんの
夢見る帝国図書館』(文春文庫)
という本ですね。

「図書館の物語を描いてほしい」
偶然に出会ったお婆さんに
そんな依頼をされた一人のライターさん。

その図書館とは「帝国図書館」。
じつは私、行ったことがないのですが、
上野公園にある現在の
「国際子ども図書館」ですね。

もともとは明治時代の1897年に
「帝国図書館」として
現在の「国会図書館」の前身として作られた施設。

戦後の1949年から
国会図書館の分館のような位置づけになりますが、
それまで数多くの作家や研究者たちに
愛され、利用されてきた場所だったわけです。

この小説は、主に3つの要素が
交差しながら進んでいきます。

1.主人公の女性作家が書く、
帝国図書館に通い詰めた人々の断片的なエピソード
2.主人公に図書館の本を書くことを依頼した
謎めいたお婆さんをめぐるストーリー
3.図書館の歴史と
お婆さんの人生を解き明かしていく
主人公たちの現代のストーリー

幸田露伴や永井荷風など、
実在の人物が関わった図書館の歴史秘話とともに、
図書館を愛し、そこで出会った人を愛した
1人の女性の謎を解き明かしていくミステリー。

何より読んでいるうちに
子供のころの図書館に通った自分の記憶が
よみがえってきました。
確かにあそこには夢があったなぁ……。
今はその図書館はなくなり、
大きな区の支所に統合されています。

あのころ図書館に育てられた私があった。
ひょっとしたらそれが
自分の出発点になっていたのかも。
同じような記憶のある
本好きな方は多いのではと思います。
本書はそんな気持ちを代弁してくれる
壮大かつ、身近な物語になっているように思います。

図書館に行きたくなるし、
読書の意欲を高めてくれる本でもありますね。

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