「与えられたもの」で人生をまっとうする

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夏川が読んだ本の紹介ですが、
久々にこの大先生の本を読みました。

養老孟司先生、
『老い方 死に方』
(PHP新書)という本ですね
今、ベストセラーで売れている本と思います。

何年か前に、先生が主催している
「養老の森」の土台、
道志村のネイチャーランド・オムで、
昆虫教室に参加したことがありました。
すでに御年80代だったと思いますが、
子供のようにはしゃいで虫を取ってらっしゃったのを
今でも覚えていますね。

本書はそんな養老先生が、
「老い方」について対談をした本。
禅僧の南直哉さんに、生物学者の小林武彦さん、
経済学者の喪谷浩介さんに、
作家の阿川佐和子さん、
という4人との話になっています。

紹介したいのは、禅僧との対談の話。

仏教には修行の一環として、
「九相図」という絵を描く修行があったそうです。

鎌倉時代に流行したそうですが、
死んだ人が朽ちて生き様を、
9段階で描くというものですね。
最後は骨になるのですが、
その前の腐っていく様は、正直、
「気持ち悪いな」と避けてしまった記憶があります。

ようするにこれは、
「死」を理解するための修行だったわけです。

誰でも死んだらそうなっていく。
だから恐れず、腐っていく死体と
心の中で対話しながら、
人がどう生きるべきかを考えていく。

生まれ持っていた肉体が亡くなるとき、
人間という存在は完全に消滅する。
その意味は何なのか、
仏教的に解釈することが重要なのでしょう。

じつは同じようなことを
養老先生の「解剖学」では、
ずっとやっていたんだそうです。

つまり、1つの死体を1か月近くかけて
解剖していく。
それは研修のためであり、仏教の修行ではありませんが、
自ずと「死」について考えざるをえません。

結局、肉体は解体されていく。
誰もが永遠に、その形を留めていくことは
できないわけです。

だからこそ私たちは、「今もっている肉体」や、
「いまあるもの」を大切にしなければならない。

限りがあるからこそ、
私たちの人生には価値があるのでしょう。
人生を長く生きた方には、
学ぶべきことがたくさんあります。

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