一体、何をした人なの? 安倍晴明

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4月4日は、「二十四節気」の
「清明」という日に当たるそうです。

ちょうど春分から太陽の経路が15度ずれる日で、
「草木が清らかで生き生きする日」
なのだとか。
そんな日になるといいですね。

そこで「せいめい」といえば、
ちょっと字は違いますが、思い浮かぶのは、
晴明さん……。

そう、今年から始まっている
NHK大河ドラマの『光る君へ』。
古典の仕事をしている立場から見ずにはいられませんが、
どうしても私が納得できないのは、
「安倍晴明さん」です。

ユースケ・サンタマリアさんが演じていますが、
邪悪に描かれすぎだろう……(笑)

『陰陽師』などの小説で育った私からすれば、
安倍晴明といえば、
妖怪退治のスペシャリストなわけです。
画像の絵でも、なんか妖怪たちと楽しんでいます。

それがまるで陰謀屋さんのような
存在になっている。
実際、そっちのほうが「ありそう」なんですが、
そもそも「陰陽師」って何をしていた人なんだろう?

実は安倍晴明について、
史実としてわかっていることは、
「ほとんどない」ようです。

確かに藤原兼家や藤原道長の信頼を得て、
祈祷や儀式を行なっていたようなのですが、
詳しいことはわからない。
皇族や貴族が病になったり、
どうも天候が不良で「雨が降らない」というとき、
祈祷をする役として呼ばれていたそうです。

それがどうして妖怪退治役になったのかといえば、
「後の時代の宣伝活動」なんですね。

とくに鎌倉時代になってから、
子孫たちが陰陽師として用いられたことがあり、
開祖だった安倍晴明には
まことしやかに伝説が語られるようになったそうです。

とはいえ、科学的の時代ではなかった
平安時代のこと。

突然、発生する伝染病やら、
陰謀渦巻く貴族社会で起こる事件やら、
現代では当たり前でも、
当時では謎が謎を呼ぶことも多い。

しかも警察だって存在しない社会なんです。
それで解決できない問題が起こったとき、
誰かに頼りたくはなりますよね。

そんなときに陰陽師が活躍したんじゃないか
……と、個人的には思っています。

原因解明をしたり、犯人探しをしたり……。
それでわからなければ「妖怪のせい」にすればいい。
退治して皆が納得すれば、
「これで問題解決だ」と、
一応は皆が日常に戻れたのかもしれない。

まあ、実際は何も解決していないけれど。
紫式部の物語では、そんな世の中の矛盾が結構、
描かれていますね。

そうやって活躍したからこそ、
のちに安倍晴明はヒーローにもなったのではないか?
まあ、個人的にはそう願いたいですね。

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