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なぜか「消防士の神」になった悲劇の将官
- 2025/5/4
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5月4日は、半ば
ゴールデンウィークのために作られた
「みどりの日」ですが、
世界的には「聖フロリアヌス」の日。
キリスト教の聖人を記念した日ですが、
彼が消防士の守り神になっていることから
「消防の日」にもされているそうです。
画像は消防士の紋章として使用される
「聖フロリアヌス十字」です。
このフロリアヌスさんが、
特別に消防に貢献したかといえば、
そんなことはありません。
消防隊をつくる任務にも就ていたそうですが、
彼の本職は軍の司令官。
紀元3世紀から4世紀のころに
ローマ帝国の司令官として、
今のドイツで国防の任務についていました。
ところが当時のローマ皇帝は、
キリスト教を嫌い、弾圧していた人物。
彼に信仰者の迫害を命じます。
しかし自身がキリスト教徒だった
フロリアヌス司令官は、この命令を拒否。
すると「皇帝の命に逆らった」ということで、
フロリアヌスは棍棒で殴られ、
釘で打ちつけられ、さらに火炙りにされ、
石をくくって川に放り込まれたる……という
壮絶な処刑を受けてしまうんです。
その遺体は、のちにキリスト教によって発見され、
丁寧に祀られたとのこと。
いずれにしろ殉教者になった彼は
キリスト教の「聖人」になったのですが、
壮絶な彼に死に様は、ある伝説を呼びます。
それは不幸な死に方と、
「火炙りになった」ことへの恨みから
きているのか、
「聖なるフロリアヌス、
私の家をお助け下さい、
他の家には火をつけてください」
と唱えれば、
火事から逃れられるというもの……。
およそ「聖人」に相応しくない祈りですが(苦笑)、
いつのまにかフロリアヌスは、
「火事から人を守ってくれる守護天使」として
信仰が定着していったようです。
不幸な死ではありましたが、
そもそもは死を恐れず、
皇帝にさからってまで無実の人を守ろうとした
勇気ある軍人。
守り神となったことには、
喜んでいるのではないでしょうか。