
少し時間を遡って7月30日は、
幸田露伴さんの命日でした。
「露伴忌」と呼ばれています。
画像は私が現代語訳した『努力論』ですが、
背景にあるのは、
大田区の池上本門寺の五重塔。
じつは『五重塔』という有名な作品を
露伴さんが書いていることもあり、
この塔の真下に、お墓があるんですね。
訳させていただいたお礼もあり、
私はたびたび、
お参りさせていただいています。
若い頃から体が弱かったこともあり、
病にふせることも多かった露伴さん。
晩年は白内障を患ったこともあり、
無理をせずに、
執筆は口述筆記で行なっていたと言います。
よく『努力論』は、
勤労勤勉を説いた本のように思われがちですが、
そうでなく、
「意識せずに努力する方法」を説いた本。
そのための考え方や習慣づくり、
それに季節に合わせた、
自然エネルギーの使い方を
露伴さんは説いています。
天の「気」と、
世の中の「気」と、
個々人の生命から生じる「気」の
バランスをとりなさい……と、
露伴さんは言っているのですが、
ようは「無理をしない」ということ。
暑い時は涼しいところに行き、
寒いときは暖かいところに行き、
自然に任せ、
自分がいちばん気持ちいい状態で
「やりたいこと」を最優先する。
そんなとき人は、
いつのまにか120パーセントの力を
出しているわけです。
そうありたいですね。
もっとも露伴さんは
地球にも「気」があると考えており、
いまの異常な気候下の世界を知れば、
さぞ嘆くのではないかという気もします。
でも、自然のままに80歳まで仕事をして
人生をまっとうした露伴さん。
長く人生を楽しむために、
その考え方は活かしたいですね。