半ミイラの神官が探す「自分殺し」の犯人

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昨日に少しエジプトの話をしたので、
今日は最近読んだ本で
古代エジプトを舞台にした
ミステリー小説を紹介します。

『ファラオの密室』
(白川尚史著、宝島文庫)
という本ですね。
「このミステリーがすごい」の大賞にも
選ばれているそうです。

なかなか面白いのは、
半分ホラーで、古代エジプトの宗教観が
しっかり生かされていること。

かの国の文化では、
死んだ後に死者の国で永遠の幸せを享受するため、
肉体が消えないよう、
遺体をミイラにして保存するのですが、
主人公はそんなふうに、ミイラにされた神官。

ところが死者の国に行く前に
神様にはじかれてしまいます。

お前は誰かに殺されていて、
大切な心臓もその人間に盗まれている。
このままじゃ死者の国に行けないよ……と。

で、数日の猶予期間をもらい、
上半身を元に戻し、下半身はミイラの状態で
「自分殺し」の犯人を
捜索することになるわけです。

なかなか他に例のない
推理小説のパターンですよね。

ファンタジーな展開ながら、
当時は有名な第18王朝、ツタンカーメン王の時代。

その父親は一神教への宗教改革を実現しようとし、
国家を混乱させたアケナアトン王ですが、
アマルナ遷都から、不審な死や
王墓の謎など、
エジプトに大きな陰謀が跋扈していた時期です。

また、外国人の奴隷などもいて、
エジプトがかなり
国際化していた時代でもありました。

そうした史実もちゃんと踏まえていて、
歴史ミステリーの面白さもあります。
勉強にもなりますね。

最後はなかなか意外でしたが、
肩の力を抜いて読める本です。
秋の読書の1冊に選んではいかがでしょうか。

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