
最近、日本のメディアやネットを見れば、
「戦争」という文字が
非常に目立つようになりました。
まあ、現政権がそういう方向に
向かっているのではないか……と。
核保有の問題などが出てきているのと、
多くはネット上に多くある
過激な論の影響なのでしょうね……。
よく勉強している政治家さんたちです。
そんなふうにはならないと信じますが、
世界で2つ、
「戦争」に対する考え方の基本になっている
重要な書物が画像。
私も翻訳している
クラウゼヴィッツの『戦争論』と、
『孫氏』の「兵法」ですね。
2冊の本に共通するのは、
基本、戦争は「するな!」ということ。
「戦争せずに勝つこと」が
孫氏の最大目標ですし、
『戦争論』は、あくまで
「戦争は政治的手段である」という理論。
つまりは
「戦争をしたほうが、対外交渉を有利にできる」
という条件があって、
はじめて戦争は選択肢になる。
といって「攻め込まれたらどうするんだ」と
言う方もいるでしょうが、それは最悪のケース。
「有利でないのに、交戦しなくてはならない」
という状況を迎えるのは最悪で、
最も避けなければいけないわけです。
その意味では、
「核開発を始めました」なんて宣言して、
国際的に攻撃を容認される状況をつくるのは、
あまり懸命ではありません。
実際、それによって攻撃されたイランなども、
戦争は始めていない。
やるなら「えっ持っていたの?」と、
びっくりされるくらい
コッソリやらなければ意味がないわけです。
なぜ戦争を避けるべきなのかは、
経済的に損失が大きすぎるから。
人口も減るし、自国が戦場になれば、
あらゆるインフラや産業に被害が出ます。
実際、古代から現代まで、戦争に負けた国は、
滅亡するか、回復まで長い時間を要するか。
勝った国でも見合う賠償金がとれなければ、
経済は困難に陥ります。
日露戦争後の日本が、そうなりましたね。
それでも侵略されたら、
国を守るために戦わざるを得ない。
『戦争論』はそんな弱者の戦い方を
さまざま紹介していますが、
やりながら大切なのは「交渉」をすること。
こちらの損失をできるだけ抑え、
相手の負担を多くし、
仲間になってくれる国を増やしていく……。
広大な領土に城砦をつくりながら、
これを長く懸命にやっているのがウクライナですが、
ご存知のように最近は
かなり不利になっています。
思う以上にあっちこっちから
兵士を募れるロシアの力と、
あとはアメリカ大統領のタイミングなど、
運も悪かったかもしれないですね。
戦場となるような大平原も少ない島国が、
さらに人口の多い国と対峙するとしたら、
一体どうなるのだろう……?
『戦争論』も『孫子』も、
分裂していたドイツ内のプロイセンや
中国の戦国時代のなど、
好戦的な強国に囲まれていた小国が
「いかに生き残るか」を
必死に考えて生まれた書物です。
だからこそ現代の日本は、
もっとよく過去の知恵から学び、
戦争の何たるかを知るべきなのでしょう。
感情論でなく、合理的な戦略でないと、
あらゆる問題には対処できない。
過去の賢人たちは、
ちゃんと厳しい問題にも目を向け
強国と対峙してきたわけです。
滅びの道を選んではいけません。




