なぜ人は「音楽」を愛するのか?

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久しぶりに読んだ本の紹介ですが、

こちら。

<脳と文明>の暗号

(マーク・チャンギージー著、ハヤカワ文庫)

という本。

 

著者はカリフォニア工科大学の先生。

脳科学の本になりますね。

 

内容はようするに、「人間がどのように

聴覚を活用しているか」のメカニズムを解明するもの。

とくに重要なのは「言語」と「音楽」が

どのようにして生まれたか?

 

表紙のサルがヘッドフォンをつけている絵は、

非常に象徴的です。

 

結論をいえば、人間はすべて

「自然にある音を聞き分けている力」を利用して、

複雑な「言語」と「音楽」をつくりあげている。

 

だから別に、特別な能力を駆使しているわけではない

……ということ。

 

サルが持っている能力をちょっと利用するだけで、

言語も音楽も、理論上はつくることが可能になるわけです。

別に人間が進化したことによって、

抜きん出て得た能力ではないようです。

 

いや。言語だって、音楽だって、

人間だけが持っているものでしょう?

そう思ってしまいますよね。

 

ただ、音量、高低、テンポ、速度など、

音の組み合わせのみで分析すると、

「モノがぶつかって、すべったり、鳴ったりする」

パターンが、言語の元になったり、

「人が近づいてきて、また離れていく」

パターンが、音楽の規準になったりする。

 

人間の動作を規準につくられているから、

音楽を聴くと、体を動かしたくなる。

 

本書は脳科学、進化学、

それに音に関する物理学を駆使して、

人が音を利用する仕組みを明らかにしていきます。

 

けっこう本格的なサイエンスですが、

これを文庫で読めるのはいいですね。

 

今年は人の活動が少なくなっているせいか、

家の周囲では、

やけに鳥の鳴き声が頻繁に聞こえる気がします。

 

今もたぶん、シジュウカラが鳴いていますが、

確かにこれ、

「どう考えても音楽だよな」と思ってしまう。

かなりパターンも豊富なようです。

 

人間は自然の中で、

それほど特別な存在ではないのかもしれない。

逃げ出してから自由気ままに生きてきた

アフリカの「ジサイチょう」などを見ると、

案外とそう感じてしまいますね。

 

[常識転換の読書術]