マキャベリだって許さない!!

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本日は出版社のウェッジさんに加え、
エージェントのアップルシード・エージェンシーさんと、
リモートで打ち合わせをする機会がありました。

そして一致したのが、どこぞの大統領に
マキャベリの「君主論」』を
ちゃんと読ませたいね、ということです。

そう、ロシアが行なったあまりにもひどい大虐殺。
言い逃れはしているようですが、疑う余地はないでしょう。

一方でプーチン大統領を
マキャベリになぞらえる向きもあります。
確かにマキャベリは、
国を治めるリーダーの心得として
ときには非道や残酷に徹し、
人々を恐怖させる手段の必要性を説きました。
これをプーチン大統領も学び、実行していると人はいいます。

ただ『君主論』をきちんと読めばわかるのですが、
マキャベリさんが
「ときに残虐非道を行なっていい」としたのは、
貴族、すなわち「敵国の支配者層に対して」でした。

一方で民衆に対しては、
これを「徹底的に味方につけよ」と述べているのです。

実際、シチリア島の王として
カルタゴと戦ったアガトクレスという人物の
功績を紹介しています。
彼は国を救った英雄ですが、
それでもマキャベリは彼を「優秀でない」と言う。
理由はこうです。

「彼に従ってきた市民を虐殺し、
友人を裏切り、信用を得ることなく、
慈悲や信仰もなかったからです。
そのようなやり方で王国を勝ち取っても、
決して栄光をつかむことなどできないでしょう」

貴族はどんなに誠意を尽くしても、
自身の利益によってすぐに裏切る。
それを避けるには、
裏切ったら怖いことを知らしめる必要がある。

しかし民衆は誠意さえ尽くせば、
限りなく国家のために働いてくれる。
一方で非道を行なえば、
民衆はどれだけ掃討しても歯向かってくる
強大な敵になってしまう。
この民衆の力をマキャベリさんは、
「軽んじてはいけない」と説いたのです。

だからきっとあの世でマキャベリさんも、
かなり怒っているんじゃないか。
「オレは、あんなの認めねえよ!」と。

もうすぐ私の訳本も発売されますが、
『君主論』より何世紀も前、
中国の唐で書かれた『貞観政要』でも、
やはり「民衆は最も恐ろしい存在だ」と説いています。

だから明君とされる太宗は、
民衆に不満がないかを常に気にして、
行政官に報告をさせた。
リーダーの最優先をよくわかっていたわけです。

それを理解できず、失墜した王や国は数しれない。
今回の戦争も、後世の歴史はちゃんと悪事を
裁いていくのではないか。

そんなふうに私は思います。

ネット上にはいろんなことを言う人がいるのでしょうが、
ウクライナの平和を今は心から願います。

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