1人のひねくれ者が残した未来への道標

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「私は無口で無益な人間だが、
他人の価値を見出し、称えることならできるはずだ」

誰の言葉かといえば、
アルフレッド・ノーベルさんの言葉です。

ダイナマイトの発明者であり、
その生涯で築いた莫大な資産を
「ノーベル賞」の創設にあてた人物。

12月10日はその命日ということで、
ノーベル賞の受賞式がスウェーデンとノルウェーで
行なわれることになっています。

平和賞だけノルウェーで授賞式をやるのは、
政治的な意志に受賞が左右されないため。
隣国で仲の悪かった2国に、ノーベルさんはあえて
役割を振り分けることにしたんですね。

今年はコロナ禍で止まっていた晩餐会も再開し、
平和賞では戦争中にもかかわらず
ロシアとウクライナとベラルーシの団体が
顔を揃えることになりました。

でも、日本ではあまり話題になっていない。
そうか、よく考えたら、
日本人の受賞者がいなかったんですね。
でも、だからスルーというのは、どうなんだろう(苦笑)

いずれにしろ民族や宗教や国家の垣根を越えるのが、
ノーベル賞の本来のあり方です。
大富豪になりながら、
生涯独身で人生を終えたノーベルさんは、
最もひねくれた形で、世界に貢献できるような
資産の残し方を考えました。

それが「科学と平和に貢献した人間を、
国家に代わって援助していく」
というものだったんですね。

そもそも「ダイナマイト」という、
大量破壊兵器にも使われた商品で
財を成したノーベルさんです。
ある日、
「最も速く最も多くの人を殺す方法を発見した男」と
新聞で自分が紹介されているのに愕然としました。

もう1つ、その恋は実らなかったのですが、
彼が生涯を通じて愛した女性が、
平和活動家である作家、
ベルト・フォン・ズットナーという方だったんです。

自分はひねくれ者で、
悪魔のような発明をしてしまった人間だった。
でも、せめて死後は彼女のような人間から
愛されるに相応しい人間でありたい。

そんな願いが「ノーベル賞」につながったんですね。

結局はどんな大成功者よりも、
多くの人に長く慕われることになったノーベルさん。
さぞ向こうの世界では、満足しているのではないでしょうか。

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