強者は決して自然に逆らわない

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ウクライナの戦争で、
ドニエプル川のダムが破壊され、
大洪水が起きているようです。

ロシアがやったのか、ウクライナがやったのか、
どちらがやったのかは知りませんが、
ウクライナの住民には大きな被害が起き、
渡河作戦にも影響が出ました。
一方で占領していたロシア軍も
大きな被害を受けたといいます。

誰も得をしない攻撃、住んでいる人々は、
「いい加減にしてくれ」という感じでしょうね。

はるか200年前に書かれた
クラウゼヴィッツの『戦争論』に、
じつは「川を氾濫させる戦略」が紹介されています。

それは今回のように、
軍にも住民にも損害を与えるような、
やぶれかぶれな愚行ではありません。
もっと「地の利」を生かし、
水を巧みにコントロールした賢い方法です。
それはオランダが歴史的にとった戦略でした。

オランダという国は、ご存知のように、
運河に囲まれた低い平地です。
現代でも同様ですが、
たびたび洪水にみまわれます。

だから灌漑施設をつくり、水車をつくったりして、
水を巧みにコントロールしてきました。
治水に関しては長い伝統を持っているわけですね。

『戦争論』には、こうあります。

「堤防に囲まれた大きな運河が、
国内をあらゆる方向に通っている。
運河は橋がなければ渡河することができない」

「堤防を決壊させれば陸地そのものが水面下に没し、
堤防の上にある道だけが水面上に残る。
この堤防上に強い防御施設を築けば、
ほとんど国土自体を不敗の要塞と化すことができる」

「1672年のこと、フランス王・ルイ14世の
侵略を受けていたオランダの司令官になった
オレンジ公ウィリアムは、
地形の利を生かして防衛線を張り巡らし、
大軍を追い返すことに成功したのである」

実際、ドイツとフランスという
大国に挟まれていた小国・オランダですが、
飛行機や戦車のような兵器ができるまで、
たびたび東からの攻撃も
西からの攻撃も退けてきたそうですね。

中国の古典『孫子の兵法』における
「風林火山」も、
そういえば自然を生かした戦い方でした。

つまり強者は決して、
自然に逆らわないわけです。
人間はちゃんと学ばなければいけませんね。

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