原爆とユーハイム

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8月6日は、広島に原爆が投下された日。
今年で78年目、ということになります。

すでに今年は、広島でサミットが開催されています。
G7に加え、インドや戦時下のウクライナなど、
大勢の世界の国々のリーダーが、
広島での被曝の痕跡を目の当たりにしたということで、
意味合いは少し違うのかもしれません。

それについてあれこれ言うのは別として、
広島の原爆ドーム、
この世界遺産になっている建造物が、
もともと何だったか、ご存じでしょうか?

広島県物産陳列館、あるいは産業奨励館として、
大正4年の1915年につくられた施設。
今でいう「見本市」を開催する場所ですね。
つまりは、「幕張メッセ」のようなもの
……ということです。

数年後、この産業奨励館で初めて製造され、
日本に紹介された食べ物があります。

これが意外にも、
「バームクーヘン」なんですね。

その経緯も変わっています。
バームクーヘンといえば、
現在も日本で一番のブランドになっている
「ユーハイム」。

その創業者、カール・ユーハイムさんは、
第一世界大戦中、中国で日本軍に捕らえられた
捕虜だったそうです。

兵士として捕虜になったけど、
もともとはお菓子職人として
中国でケーキ屋さんも出していたユーハイムさん。

広島の収容所に収監された際、
「ここでお菓子をつくってみないか?」
という話になったようです。

ならば挑戦!……ということで
材料集めに苦労したものの、
バームクーヘンをつくることに成功。
まったく日本にはない味だったわけですが、
「こんなの初めて食べた!」と
結果は大成功でした。

捕まった兵士が、敵の国でお菓子を焼き、
皆を喜ばせる……。
そんな奇跡的な平和を、すでに広島の原爆ドームは
被曝する前に実現していたわけですね。

やがて捕虜だったユーハイムさんも解放されますが、
「ぜひ、あのお菓子を作ってほしい」と
スカウトしたのがスーパーの明治屋さん。

それがきっかけで日本で開業し、
やがて現在の「ユーハイム」の土台になっていくわけです。

それから日本を愛し、戦争を嫌ったユーハイムさん。
第二次世界大戦が始まり、心を病み、
ドイツへ帰ったこともありましたが、
「戦争は必ず終わる」と信じて日本に帰ってきます。
そして原爆投下から8日後に、
神戸でお亡くなりになったとのこと。

武器をつくって皆が争う世の中より、
皆でお菓子を食べる世の中のほうが
何倍も楽しいじゃないか!
そんな主張を貫いたのでしょうね。

この建物がずっと、
美味しいお菓子を庶民に届ける場所だったら、
どんなによかったことか?
「本当に皆が望んでいること」を
世界のトップは皆で考えてほしいものです。

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