ラムセス2世とイスラエルの始まり

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はるか昔に読んだ、こちらの本。
クリスチャン・ジャックという人が書いた
『太陽の王 ラムセス』という小説。
(青山出版社)

もう絶版になっているようですが、
古代エジプトの王朝で、
国を最も広大な領域に広げた
紀元前13世紀〜12世紀の
英雄的ファラオ(王)の1人。
「ラムセス2世」の生涯を描いた物語ですね。

この物語を思い出したのも、
現在のガザ地区の混乱。
やっとエジプトから救援物資のトラックが入りましたが、
どうしてこんなに遅れてしまうのだろう……。
本当にヤキモキしますよね。

地図を見れば、エジプトはシナイ半島を通して、
ガザ地区につながっています。

そのシナイ半島といえば、
かつては中東戦争で、
イスラエルとエジプトが
領有を取り合った地域でもあります。

でも、古代の時代を見れば、
シナイ半島はエジプトにとって、
アジアとの間にまたがった広大な境界地域。
あんまり「自分たちの領土」とは
考えていなかったんですね。

その向こうで戦争をするなら、勝手にやってくれ。
ただ、争いを紅海の先に持ってくるな
……という感じでしょうか。

けれども、このシナイ半島が、
古代エジプトの歴史上で大き
クローズアップされた時代があります。

そう、それがラムセス2世の時代。
そして「ユダヤ人」と呼ばれる人々が、
誕生した瞬間でもありました。

そもそも国を持たず、
「ヘブライ人」と呼ばれた今のイスラエルにいた人々。
その中には周辺の文明国へ、
出稼ぎにやってきていた人々もいました。

そしてエジプトで労働者として
劣悪な状況にいたヘブライ人を、
「皆で自分たちの国を作ろうよ」と
一致団結させたのがモーセでした。

彼らはエジプトを脱出し、
シナイ半島で追いかけるラムセス2世を振り切り、
その先のカナーンの地で、
「イスラエル」を作りあげるわけです。
紀元前8世紀に滅ぼされるまで、
この国は続きました。

1948年にパレスチナ人を追い出して
出来上がったイスラエルは、
このときの国を復活させる動きだったわけです。

謀反を企んだモーセを
捕らえようとしたラムセス2世。
「旧約聖書」では悪く描かれるのですが、
この物語では、もともと親友だったように描かれます。

そして対立はしますが、
最後は「頑張っていい国を作れよ」と
親友の建国を黙認する懐の広さ。

まあ、実際はどうだったか知りませんが、
当時のエジプトは周辺のあらゆる国と交易関係を結び、
世界でも有数のグローバル国家にも
なっていたわけです。

今、そんなふうに広い視点から、
この地域の未来を考えているリーダーは
いるのだろうか?

民の安寧こそ、国の長の務め。
根本に返って
最善の策を考えてもらいたいものです。

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