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夏川が読んだ本の紹介ですが、
ずっと読もうと思っていた世界的なベストセラー。
今年のお正月に読むことができました。

『ザリガニの鳴くところ』
(ハヤカワ文庫)ですね。

ディーリア・オーエンズさんの
全世界で2200万部売れている小説。
すでに映画化もされています。

なので、「今さら」ではあるのですが、
どうもタイトルから私は、ひぐらし……のような、
ホラーめいたものを想像していた。
まったくそうではありません。

この小説、60年代に
ノースカロライナの湿地帯で起こった1つの事件と、
その容疑者となる1人の女性の人生が、
同時並行の形で描かれます。

それで「海外のミステリーが苦手!」
……という人には朗報なのですが、
この本、主人公を除くと、
重要な登場人物は4、5人しか出てきません。
だから本の袖にある、
「登場人物紹介」に騙されてはいけない。

逆に言うと、本書の主人公となる少女、
広大な湿原の中にある一軒家で、
人生のほとんどを1人で過ごし、
他人と関わることをしなかったわけです。

その人生はひどい父親のもと、
母も兄弟たちも離散していく過酷なものでしたが、
それでも少女の周りには「湿原」があった。

1匹1匹が異なる鳥の様子を観察し、
カエルの声に耳を澄ませ、
蛍の輝きに圧倒されながら、1日を終える。

彼女は独力で勉強もし、
やがて生物学者として本を書くまでになるのですが、
それだけで人生は充実したものになるんですね。

それに比べると、
「私たちは恵まれ過ぎているんだな」と、
改めて思います。

本書のタイトル、
「ザリガニが鳴くところ」とは、
「どこか遠く」という意味の慣用句なのだとか。

得体の知らない「どこか遠く」に
人は憧れてしまうことによって、
悲劇が生まれてしまう。

気づけば身近なところに、
こんなに奥行きの深い世界が潜んでいる。

このミステリーをどのように感じるかは
人それぞれでしょうが、
「やはり読書ってやっぱりいいな」と
感じさせる1冊ですよね。

なんでも著者は69歳で、今回、
はじめて書いた小説なのだとか。
何事も挑戦です!

 

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