
古典の本を1冊紹介しますが、
「マーク・トウェイン」といえば、
『トム・ソーヤーの冒険』で知られる
19世紀のアメリカを代表する作家です。
その大作家がこんな作品を出していたんだ……と、
ちょっと呆れてしまうのがこちら
『人間とは何か』(岩波文庫)
という、200ページに満たない本。
呆れる……というのも、内容は単純で
「人間なんて所詮、
周りの環境に左右されながら、
せいいっぱい己の欲望を貫くだけの
愚かな機械のような存在にすぎない」と、
やたら悲観的な爺さん。
それを一生懸命に否定しようとする
青年との会話が、
堂々巡りでずっと続いていく……という、
しょうもないものです。
この悲観的な爺さんは、
他ならぬ著者の内面発露なのでしょうか。
知らなかったのですが、
作家として大成功しながらも、
晩年には破産し、
苦労を余儀なくされているトウェインさん。
娘を病気で失うほか、家族には病人も多く、
恵まれない人生を過ごしたそうです。
そんな中で、思考はつねにネガティブになり、
一生懸命に前向きになろうとしても、
ついつい、「だって、こうでしょ!」
「でも、こうだもんね」と
明るい材料をどんどん否定してしまう。
まあ、そんな内容ですから、
本書は家族に大反対されたあげく、
75歳で死去する数年前に
わざわざペンネームで出版をしたそうです。
それでも「出したかった」のは、
世の中にこれを提示して
反応を見たかったのかもしれません。
あらゆるポジティブを限りなく否定していく
この、お爺さん。
それでもどういうわけか、
読んでいくとものすごく幸せに見えてしまう。
一方で「世の中をこんなふうに見るべきだ」という
固定観念に縛れている青年のほうが、
どちらかといえば窮屈に見えてしまう。
さすが大作家さん、
長く自分が積み上げてきた思想も含め、
「是非は自分で決めなさい」と
深く問いかけているのでしょうね。
簡単に読める本ですので、
気になる方は手に取ってみてください。




