平和が歴史をよみがえらせる

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大学時代に考古学を学んでいた私には、
非常にワクワクするニュース。

イラクのメソポタミア地方ですが、
干ばつでチグリス川の水位が下がったら、
「3400年前の古代都市が出現した」という話ですね。
都市まるごと発見……なんていうのは、
なかなかないことだと思います。

ニュースによると、
この都市は紀元前16世紀頃から栄えた
「ミタンニ」という古代国家のもの。

ちょうどエジプトでは、ツタンカーメン王もいた
新王国第18王朝が栄えた頃。
交易の記録は残っていますが、
その実像がハッキリしなかった国です。
なので、これからの調査が待ち望まれます。

でも、このニュース、
多くは「地球温暖化による現象」として紹介されています。
確かに干上がった結果ですから、
それは怖いことでしょう。

でも、もう一つ重要なこととして、
地元クルド人の考古学グループと、
周辺地域の調査をしていたドイツ人の研究者たちが、
この遺跡を発見したそうなんですね。

なんでも遺跡の存在は前から知られていたとか。
地震によって崩壊した町で、
当時の様子がかなり保存されている。
でも、川底にあるため、なかなか調査できないな……と、
悔しがっていたとのこと。

ところが干ばつで、川の水が汲み出されたという。
ひょっとするとひょっとする……ということで、
クルドの研究者たちがドイツの調査隊に声をかけ、
川から出現した都市を
発見することができたわけです。

クルド人たち……といえば、
今もトルコやイランにまたがり、
場所によっては差別を受けている人々。
イラクでも少し前は、
占領していたISから村を解放するため
孤高の戦争をしていました。

当時はISが宗教的な理由で遺跡を破壊している
……なんていう話が多かったのですが、
平和な時代になると、逆に国際協力で
新遺跡が発見されることもある。
しかも自然災害にかこつけてのウルトラ神業で。

平和な時代だから、これができるんだなと、
改めて称賛したくなります。

ひょっとしたら川の水が戻るまでの
時間制限のある調査になるかも。
でも、自然が与えてくれたチャンスと思って、
頑張ってほしいものですね。

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