知っておきたい「ソロヴェツキーの石」

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画像はモスクワにある
「ソロヴェツキーの石」と呼ばれるものですが、
同じようなものがサンクトペテルブルクなど、
ロシアの各都市にあるそうです。

この石はすべて極寒のバレンツ海にある
ソロヴェツキー島から持ってきたもの。
ここには旧ソ連時代に
強制収容所が置かれていたんですね。

この石のオブジェをロシア国内に広めているのが、
今年のノーベル平和賞を受賞した団体の1つ、
ロシアの「メモリアル」です。

すでに発表されている通り、
今年はウクライナで戦争犯罪の解明に尽力している
「ウクライナ市民センター」と、
ベラルーシで人権問題を訴えて投獄されている、
作家のアレシ・ビャラツキさん。
そしてロシアから、
この「メモリアル」が選ばれました。

ただ、「メモリアル」の活動は
そもそもが政治とは別の問題で、
「旧ソ連時代に言われない罪を着せられ、
極寒の地で亡くなった多くの人々の名誉を回復し、
悲劇を2度と繰り返さないよう、後世に語り継ごう」と。
そんな趣旨で始まった運動だったんですね。

だから始まりも古く、
80年代のペレストロイカの時代。
300万人以上の犠牲者のデータベースを作り、
それでもまだ75パーセントの犠牲者が特定されていないと、
過去の解明に励んでいるそうです。

じつは今年になって平和賞を受賞する以前から、
何度も候補にはあがっていたんだそうですね。

ただ、基本はそんなふうに、
「過去の悲劇を繰り返さないために」であり、
今は否定されている共産主義時代のことです。
すすんで事実解明と犠牲者の追悼をすればいい
……と思うのですが、ロシアでそれはゆるされません。

大統領は元KGBですし、その支持者は、
むしろ旧ソ連時代の威信のようなものに
すがっているわけです。

それでこの追悼のモニュメントが撤去されたり、
活動の停止命令や、国際的な活動の禁止など、
反政府団体のレッテルを
貼られることになっているわけです。
歴史を重んじる人間としては、由々しきことと思いますね。

どちらが悪いとか、政治的な黒白は、この際、問わない。

ただ事実と向き合い、起こったことをありのままに伝え、
悲劇に巻き込まれた人の犠牲が、
まったくの無駄になってほしくないとは思う。

今回、私も初めてこの活動を知ったのですが、
戦争と関係なく、
世界が応援すべきことだと思います。

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