私も会ってみたかった! 250年前の「仕事ができる男」

毎週配信メルマガ「賢者の会」通信はこちら

夏川が読んだ本の紹介ですが、
紹介したいのはこちらの本。

蔦重の教え
(車浮代著、双葉文庫)

「蔦重」というのは、蔦屋重三郎のこと。

すでに来年の大河ドラマの
主人公になることが決まっていますが、
吉原にて、今でいうところの出版社を立ち上げ、
十返舎一九や山東京伝、滝沢馬琴などの作家や、
喜多川歌麿や写楽などの絵師を
次々とデビューさせた人物。

でも、本書のオリジナルは2014年に
発表されているんですね。
著者の車さん、なかなか先見の明があります。

物語は決して難しいものではありません。

現代に生き、早期退職を勧告されている
50代の広告営業マンが、
なぜか若返った状態で、ほぼ240年前の吉原に
タイムスリップしてしまう。

そこで彼を助けたのが、蔦屋重三郎さん。

主人公は仕方なく彼の下で、
見習いとして仕事を学ぶことになります。

にしても魅力的なのは、
本書に登場する蔦重さん……ですね。

その昔の出版社って儲かったんだ、
なんて話ではありません。

豪華本からブロマイドのようなものまで、
彼は吉原初のヒット商品を次々と仕掛け、
江戸庶民のニーズを巧みに掘り起こしていきます。

その傍ら、身分の高い武士を味方にしたり、
売れっ子の遊女をスポンサーにしたりして、
今で言う「ビジネスモデル」を様々な形で作り上げていく。

そして身近な人間たちから、
才能豊かな人気作家や、
今では誰もが知っている浮世絵師を
次々と発掘していくわけです。
その中には若き日の葛飾北斎も含まれていました。

彼の教えは本書に
「蔦重の教え」として凝縮されていますが、
仕事についての考え方や、マーケティングの仕方、
アイデアの出し方に、人脈の築き方など、
現代のビジネスパーソンにとっても
確実に役立つものになっています。

「江戸で大成された仕事術が学べる小説」
としても、
本書はぜひ読んでほしい1冊ですね。

日本人はかつて、こんなすごい仕事論を
大成させていた。
今、一体何をやっているんだろう……と、
あらためて思ってしまいますね(笑)

関連記事

ページ上部へ戻る