世阿弥の時代、悪党の時代

[毎週配信メルマガ「賢者の会」通信はこちら]

読書の秋……ということで、
夏川が読んだ本の紹介ですが、
こちら。

『南北朝時代』
(森茂暁著、講談社現代新書)
というもの。

つまりは、室町時代を始めた足利尊氏と
対立した後醍醐天皇が
吉野で南朝を立ち上げた1337年から、
北朝との統合が成り立つ1392年まで。

日本史上で唯一、北朝と南朝に分かれて
国家が分裂していた時代であり、
それは本来、国が2つあった
異常な時代であるはずなんですが、
あまりそんな時代の感覚はありませんよね。

戦国時代や幕末の頃のほうが、
もっと日本国内で戦争をしていたような
イメージがあります。

ようするに、民衆にとってほとんど
天上人だった公家や武家の権威が失われ、
「力をもったリーダーが国を収める」という
日本全体が武家主体のシステムに
大きく変わっていった時代。

以後、残念ながら明治・昭和の時代まで、
皇室はほとんど大衆と無関係な存在になり、
その地方をおさめるリーダーが
「お殿様」として
日本の支配層になっていきます。

そういえばずっとアニメで
『ワールド・イズ・ダンシング』
という、世阿弥さんの人生を描いた物語が
放映されていました。
私が現代語訳している
『風姿花伝』の著者であり、
能の大成者として知られる人物ですね。

じつは1363年という時代に生まれた
世阿弥さんは、
完全な「南北朝世代」に属する人。

国の形が曖昧で、
民衆が何を信じればいいかわからなかった時代に、
「能」や「猿楽」という
新しい民衆文化が台頭したのは
決して偶然ではありません。

そしてこうした民衆への影響力を取り込み、
武力でなく、経済力やエンタメ力でもって、
3代目将軍の足利義満が、
先先代の尊氏が解体した国家を
再統合していった時代でもありました。

まあ、そういう時代でありながら、
あまり詳細に学ばないのは
今の歴史教育でもありますので、
ちゃんと本を読んで勉強しておくのも
いいのではないか。

「こういう時代もあったんだ」と
きちんと知れば、
私たちはもっと自分の国について
深い認識が持てることでしょう。

関連記事

ページ上部へ戻る