
夏川が読んだ本の紹介ですが、
本日はこちらの本。
『プラハの墓地』(創元ライブラリ)
という
ウンベルト・エーコさんの小説ですね。
ウンベルト・エーコといえば、
かの『薔薇の名前』という
映画にもなった作品で知られる方。
2016年に他界していますが、
本職はイタリアの哲学者で
「記号学」の権威であり、
膨大な歴史研究の上で書かれた小説は、
非常に難解です(苦笑)。
とくに2010年に出版され、
昨年に文庫化した本書は、
主人公以外の人物が、
19世紀中ごろから20世紀にかけて実在した
イタリアやフランスの人々。
なので歴史を押さえながらでないと
非常に難しいのですが、
本書で扱っているのは
後に歴史上で『シオン賢者の議定書』と
言われるようになる「偽書」です。
これは陰謀論の元祖のようなもので、
現代でもあからさまに
唱える人はいるかもしれない。
この世界はユダヤ人たちが牛耳っていて、
彼らは世界の征服を企んでいる
……というもの。
「プラハの墓地」とは、
彼らが秘密の儀式を行なっていたとされる場所です。
このデマが時代を経過して広まり、
ユダヤ人への差別を正当化させたうえ、
ナチスが残虐なホロコーストを行なった
動機づけの1つにもなっていきました。
本書の主人公は、
その発端となる「フィクション」の
捏造を始めた人物という設定です。
そして「イタリア統一運動」や、
「パリコミューン」の革命運動という混乱の中で
だんだんともてはやされ、
拡大していく様が描かれています。
そんな有様を読んでいくと、
エーコさんは2010年に、
現在の世界を予測したのだろうか?
人類はとかく、困難に直面すると
一生懸命に「悪者探し」をするようになってしまう
特徴を持っているのかと思ってしまう。
難解な作品で、正直、
あまりスカッとするストーリーでもないのですが、
興味ある方はぜひ挑戦してみてはと思います。
同じようなテーマでは
『フーコーの振り子』という小説が
非常に面白いですね。




